2012/11/14(水) 本音の飲食店

2012年11月14日(水)

「ありがとうが生まれるサービス」

株式会社ゼットン 稲本 健一氏

【プロフィール】

1993年にプロデュースしたビアガーデンの成功を機に、飲食ビジネスの世界へ。

95年10月株式会社ゼットンを設立し「店づくりは街づくり」の理念のもと、名古屋、東京、横浜、ハワイ、シドニー等に店舗を展開。飲食を通して街の活性化に貢献すべく、公共施設開発、および商業店舗開発事業を推進する。

またレストランの魅力を生かしたウェディング事業、社内デザイン部による商業デザイン提供、店舗や施設開発のプランニングおよびコンサルティングまで幅広く手掛ける。

「街に必要とされるお店」

僕の人生はいつもなぜか飲食に導かれている気がします。

僕はもともと、飲食業をやろう!と思っていたわけじゃないんです。僕は飲食店をやりたかったわけでもないし、社長になりたかったわけでもない。流し流されていろんな人に出会ってきました。

「金曜日の20時に出来ないことはやめる」

昼はデザイナー・夜はバーテンダーとして働くようになったころ、そこで、飲食店の企画書作りを始めました。パースやグラフィックを入れながら企画書を作っていて、半年くらいやってみて、ふと振り返ってみたら、僕が企画書を書いたお店が結構流行っていたんです。その時初めて、飲食業をやってみようかなと思い始めました。
初めて作ったのは覚王山に作ったビアガーデン。9月の最終日。現場に向かったら、ずっと渋滞になっているんです。それは僕が作ったビアガーデンに続く道でした。駅前まで人が出ていて、がちゃがちゃの世界がそこにありました。そこに足を踏み入れた瞬間に電撃が走りました。自分が作ったものにこんなに多くの人が集まって、なんか知らないけどめちゃめちゃ楽しそうにその空間に居てくれる。これが飲食店かって。

飲食店ってすごいなって思ったんです。飲食店をやるって、料理を作る、お酒を作る、サービスをする、それも大切だけれど、人のエネルギーを束ねることってものすごく大切だと気づきました。そこから僕はこの仕事を本気でやってみようって思ったんです。お客様の楽しんでいるシーンに身を置きたい、そう思って飲食に入ってきたんです。

「街に必要とされるお店」

飲食店はもう二度とやらない、と言いました。もし今くたばったら、もし次生まれ変わったら、もう二度と飲食店はやらない。

いろいろな人たちとの出会いの中で今僕はこうやってきているから、もう一度こんな素晴らしい人たちのいる環境に居られるとは思えない。だけどその代わりに、この人生をやっているうちだけは、最後の最後、くたばる寸前まで飲食店を辞めない。それを心に決めたうえで、次に生まれてきた場合には飲食店はやらないという強い気持ちを持って、僕はこれからも飲食に関わっていきます。

1度は、世の中に飲食店は必要ないって思っていた時期がありました。だけど、飲食店は世の中に必要です。食べ物で喜んでくれたり、人と人とが繋がったり。20代の人たちは外でご飯は食べないと言いましたが、やはりどんなにSNSが盛り上がっても、携帯が進化しても、人と人とが顔を向かい合わせて、見つめ合って、おいしいものを食べて、お酒を飲んで乾杯すること以上のコミュニケーションなんてこの世にないんですよ。そんな場所を僕たちは提供しているんです。