2013/10/24(木)「インテリアデザイナーとして、原点を辿る」

2013年10月24日(木)

「ありがとうが生まれるサービス」

株式会社ワンダーウォール 片山 正通氏

【プロフィール】

1966年 岡山県生まれ。 インテリアデザイナー。

株式会社ワンダーウォール 代表、武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 教授。

2000年、ワンダーウォールを設立。クライアントのコンセプトを具現化する自由な発想、また伝統や様式に敬意を払いつつ現代的要素を取り入れるそのバランス感覚が、国際的に高く評価されている。

主なプロジェクトは、ユニクロ海外旗艦店(NY、パリ、ロンドン)、PASS THE BATON(丸の内、表参道)、DEAN&DELUCA(六本木、名古屋他)、ピエール・エルメ・パリ 青山、ザ・リッツカールトン・香港のメインバーOZONE、INTERSECT BY LEXUS(青山)などがある。www.wonder-wall.com

「街に必要とされるお店」

「インテリアデザインを勉強して家具屋を継げ」と父に言われたのがこの道に入ったきっかけです。岡山から大阪に行けると喜んで進学しましたが、インテリアデザインとは全く関係のないショップのデザインを学ぶ学科だということは後になって分かりました。折しも、その頃はバブル経済の始まり。世界中のデザイナーが日本に建築やショップのデザインをしていた時期です。日本で、デザインというものが意識され始めた時期ではないでしょうか。

それまでは、インテリアデザインを仕事にするということに具体的な想像ができていませんでしたが、雑誌で見るようなお店にはインテリアデザイナーがいて、そこに様々なクリエイターが関わっているということに気がついたんです。インテリアデザイナーという仕事は、自分が好きな世界に関われるかもしれないという期待が生まれた時期でもありました。

 

「金曜日の20時に出来ないことはやめる」

就職をして、いくつかの設計事務所を経て、26歳で友人と起業しました。ただし、会社を起こしたタイミングは、バブル経済が崩壊した後です。最初は仕事が無い日々が続きました。苦労もありましたが、この時期は僕にとっては宝。デザインとは何か、どうやってデザインを仕事にしてお金が貰えるようになるのかを考えることが出来た時期でした。そして、覚悟を決めて、とにかく前に進む事しか考えていませんでした。

「3年頑張れば、1回はチャンスが来るから頑張れ。失敗したら隠しておけ。成功したら言いふらせ」。先輩から言われたこの言葉を信じて頑張りましたが、実際にこれだと思えるチャンスが来たのは6年程経ってからでした。

「街に必要とされるお店」

インテリアデザインにおいて、僕が大切にしている5つのキーワードをお話します。

最初は「デザイン」。

僕は今でもデザインとは何なのかうまく説明できません。でも出来るだけ分かりやすくしたほうがいいのではないかなと思っています。例えばデザインを「旅」に例えてみましょう。どこに・誰と・どうやって行き・何をするか・・・ 一つ一つ目的に向かって判断をしていくことで、最終的に旅は完成します。デザインもきっと同じような感じなのではないでしょうか。何のためにそれをするのか・どうやったら楽しくなるのか・・・少しずつ真面目に考えていくと、なんとなく浮かび上がってくるものがある。形をつくることがデザインではないんです。

次に「状況に耳を傾ける」ということ。

ターゲットもクライアントも毎回違います。知らないことは勉強し、毎回ゼロセットして考える。それまでの軽々しい思い込みは捨てたほうが良いですね。

三番目に、「プロであり、アマチュアである」ということ。

プロという言葉には良い意味と悪い意味があります。プロはスキルがあるので、早く良いものが作れるようになります。でも、経験に頼ってしまうことがあるんです。逆にアマチュアの人は、スキルはないけど、その空間に対する愛情がきちんとある。デザイナーは、常に相手の立場に立って考えるということ、そして何が一番適切な答えなのかを常に考えないといけません。自分の中で常にプロとアマチュアを対峙させて、アマチュアの気持ちで空間に向き合い、プロのスキルで検証する。その両方を常に持っていたいと思います。

四番目に、「何を売るのか」ということ。

最近はインターネットで簡単に買物ができる時代です。そんな便利な時代において、わざわざ買物や食事に来てもらうためには何をすればいいか。ここでしか味わえないような経験・体験・時間。「来て良かった」と思ってもらえなければ、多分僕の仕事も皆さんの仕事もきっとなくなってしまいます。

最後に、「楽しむ」ということ。

作り手が楽しんでいる場合は、不思議とその気持ちが消費者に伝わると思っています。遊ぶということではなく、きちんと真面目に取り組み、そして楽しむことが出来ると良い結果を生みやすい気がします。どんなに大変なことがあっても、この試練を乗り越えると次にいい事がまっている!と思って、常に前向きに取り組むことを心がけています。