2014/2/27(木)「つくり手の気持ちを考える」

2014年2月27日(木)

「ありがとうが生まれるサービス」

株式会社らしく 並川周作氏

【プロフィール】
創業2年で都内に繁盛店「東京トンテキ」など3店舗多業態の飲食店を展開。
飲食ベンチャー企業として更なる多店舗化、多業態化を計画中。
東京トンテキ

「街に必要とされるお店」

私は、会社の成長戦略を山登りに例えています。山の高さを出店数、道のりを企業寿命とすると、私の成長戦略の希望はエベレストや富士山ではなく、高尾山です。これは飲食店に限らず企業の原理原則だと思いますが、エベレストを登ろうとすると途中で体力の限界を迎えて必ず落ちてしまう。自分の適性や好む経営スタイル、また自分にはどの山に登れるだけの体力があるだろうかということを考えたときに、自分には高尾山が合っていると思いました。

しかし高尾山を登る、しかもゆっくり登るというのは難しいことです。登れないというより、登り続けるのが難しい。なぜゆっくり登るのが難しいかというと、理由は四つあります。
まず「1.調子に乗りやすい」。中小の飲食企業というのは、売上の良い店ができたらすぐに出店したくなるからです。繁盛している理由も明確になっていないのに次の店を出しても、失敗する確立は高いです。
次に「2.自慢したくなる」。店をたくさん持つようになると、取材のインタビューやセミナーの講師をし始めますが、これは店舗の売上には繋がらず、情報が流出するのみです。
そして、出店をしないと「3.仲間の士気が下がる」。役職ポストを作ることが新店舗出店の一番の理由なのではないかと思うのですが、出店がないと停滞感が出てきますし、スタッフも役職が増えないので将来が不安になります。
そして最後に「4.効率が低下する」。新店舗を出さず、売上も上がらず従業員数も同じままだと、人件費率が高くなり、収益性も低くなります。 これらのことから、お店を出さない、高尾山をゆっくり登るというのは非常に難しいことだと思います。

「金曜日の20時に出来ないことはやめる」

中小に限らず、会社として全体の売上を上げるといった時、既存店の売上高には必ず限界があります。店舗面積や客席数による限界、また営業時間や客数の限界です。会社の売上を右肩上がりにしていこうと思う以上、出店しなければならないというのが飲食の難しいところだと思います。
また私が気にしているのが、「店舗数とブランドロイヤリティは反比例する」ということです。店舗数が増えるほど「ハレの日感」「贅沢感」は薄れると思います。店舗が増えることによって既存店に来てくれているお客さんに飽きがきたり、特別感がなくなったりします。

「街に必要とされるお店」

この飲食業界の大変さのなかでどのようなことをやっていくかを考えるとき、株式会社らしくには「多店舗化する能力も体力もない」と認識しています。そのため、「大手飲食企業ができないこと」をやらなければ、生き残れない。基本的には、仕組み化をできないことをやる、属人的なお店を作る(個人の力量で売上が変わるような店を作る)というのが理想だと思っています。

そして、私が飲食店経営において大切にしていることは二つあります。まず一つ目は、「ちゃんとしている」かどうかをお客様目線で常に考えること。当然、安い、おいしいということもありますが、「“お店として”ちゃんとしているか」を重要視しています。最近、サービスとサプライズが混同されていると思います。サプライズはサービスではない。サプライズは一回きりで、二回目以降の付加価値は低いと思います。二回目以降も来て欲しいと思ったら、サービスがちゃんとしていないと駄目だと思います。では「料理やサービスがちゃんとしている」とはどういうことかというと、自分の店にとって「ちゃんとしている」の定義を考えることが大切だと思うので、私は店長とよく直接話をするようにしています。

二つ目は、「競争優位性(=差別化要因=来店動機)を正確に把握し、伸ばす」。簡単にいうと、なぜお客さんはうちのお店を選んで来てくれるのか、ということを深く考えるようにしています。自分たちが思っている競争優位性とお客様の来店動機が本当に一致しているかを再確認し、そのうえでより競争優位性が高まるようにブラッシュアップしていくことが大切だと思います。