2015/7/30(木) 「価値創造のパラダイムシフト~自分が変われば組織が変わる~」

2015年7月30日(木)

「真に美味しい酒を目指して」

高野 登氏

【プロフィール】
長野県出身。リッツ・カールトン元日本支社長。プリンスホテルスクール(後の日本ホテルスクール)を卒業後、 1974年に渡米。ザ・キタノ・ニューヨーク、サンフランシスコ・フェアモントホテル、ニューヨーク・ザ・プラザホテル、ニューヨーク・スタットラー・ヒルトンなどアメリカのホテル勤務を経て、1990年にザ・リッツ・カールトン・サンフランシスコの開業に参画。1994年に日本支社長に就任。ザ・リッツ・カールトン大阪やザ・リッツ・カールトン東京の開業にも携わった。同社退社後は、著述や講演などで活躍しているほか、人とホスピタリティ研究所の代表も務めている。

「成功へ繋がる失敗の数々」

1日は24時間、人間の平均寿命を86年と捉えて、これを表にすると働いている時間は「人生のど真ん中タイム」にあたります。この時間に、仕事を通して価値を生み出すことが出来、誰かや社会に貢献出来るんです。多くの人がこの「人生のど真ん中タイム」にいます。どういう風に過ごすかによって人生のクオリティも決まってくるんですよね。何の仕事をしているかではなくて、その仕事にどうやって向き合うかが非常に重要になってきます。
その時間をあまりにももったいない過ごし方をしている人が多い。ネガティブに考えてしまっている人も多いですね。お一人さま一回限りの人生なのにもったいない。
「人生のど真ん中タイム」を生きるということは、自分の人生を堂々と企てるということになります。役割は会社が決めますが、その役割にどう向き合うかは自分で決めなくてはいけない。人生はその人の求めるものその通りのものを与えてくれます。それは例外なく。

「より良いお米を求めて」

人生のど真ん中タイムのクオリティを上げていくために必要なのは、心磨きと心の筋トレです。
私が以前勤めていたところでは、毎朝10分間のラインナップを仕組化しました。会社の哲学、理念などを確認するんです。よく、「マンネリ化しませんか?」と聞かれたことがありますが、マンネリ化しようがないんです。例えば、人間は毎日歯を磨くし、顔を洗う。なぜか?これは気持ちいいからですよね。そうやって自分の健康を整えるように、この毎朝行われるラインナップによって心磨きを行うんです。心がすっきりすることで気持ちよく仕事に入ることが出来ます。これを5年間続けていたら、その業界では1位になっていました。この心磨きの繰り返しが、個人の心のしなやかさや強さを作り上げてくれました。
さらにここに筋トレをしていくんです。筋トレとは感性を鍛えること。いろいろな出来事がありますが、そういった出来事ひとつひとつに丁寧に向き合って対処して行くことで心も育っていきます。
仕事を楽しむには筋トレは重要で、筋トレがなければ楽しんでと言われても何をしていいのかわからないでしょう。

「口を出す蔵元へ」

人生のど真ん中タイムにはどういった能力を身につけておかなければならないのか。
それは“理解”と”気づき”の差を知り、気づきを増やしていくことです。
“理解”と”気づき”は似ているように見えますが、実際は全く異なっていることに気づかなければなりません。“理解”というのは、座学のように勉強して、頭の中で「あぁ、そうですか」「わかりました」という状態。“気づき”というのは、自分の心の中にストーンと落ちてきて、腹落ちするもののことです。“気づき”は体験を通してしか身につかないのです。必ずしも、自らが体験しなくてはいけないわけではなく、疑似体験でももちろん構いません。
自分で気づくアンテナ、そして自分で提案していくレーダーの力が必要で、それがあれば仕事は全く違った側面を見せてくれるんです。気づくことは容易い事ではなくて、簡単なことでも自分が気づかない限りは出来ません。
気づきを得て忘れない仕事をしていく、さらに日常生活でも体験を通して気づきを定着させていく・・・そうすることによって自分の人生の幅も広がっていきます。

「自分の好きな酒を作る」

少しだけ視点を変えて、相手の立場にたった視点を自分の中に持ってみると、目の前の景色が変わっていきます。これを「パラダイムシフト」といいます。つまり、自分の中で当たり前だと思っていた視点ではなく、違った視点から見てみることでアンテナが張れるようになってくる。それを「成長」といいます。
自分が成長していけばいくほど、相手の立場に立って物事を考える意味が分かってくるので、感性と心の筋力がついてくるんです。
行動結果につながらないのは、本気が足りないからです。本気は自分の最後のところを伸ばしていく大事ポイントですよね。
毎日毎日生きている中で、今日という日は残りの人生の中の第一日であり、唯一の日なんです。

自分の本気を出していくこととは自分の中で凝縮して人生を考えることなんです。せっかくの人生、一生なんだから、本気に蓋をしたらもったいない。

「口を出す蔵元へ」

センターピンとはボウリングの一番ピンのことです。ストライクを取りに行こうと思ったら、センターピンは外してはダメですよね。これを仕事に置き換えてみると、自分たちのしている仕事は本当に目の前のお客様のセンターピンを捉えているだろうかと考えること。自分が伝えたいものや提供したいものではなくて、お客様の欲していることを考えるんです。みんながみんな一緒じゃないからこそ、気づくには心の筋トレが必要なんです。状況に応じてセンターピンも変わりますし、常日頃から自分たちの仕事・ビジョン・ミッションを考えていかなければ対応は出来ません。
そう考えていくと、仕事も働き方もどんどん幅が広がっていきます。
人生の幅はいくらでも、広がっていくんですよ。